今日見た夢に冬優子が出てきた
あぶく銭が入り懐が豊かになった。
同棲している冬優子と使い道を相談している。
私「せっかくなんだし、なんかいいもの食べに行こうよ」
冬「だめ。ふゆに考えがあるんだから、あんた勝手に使うんじゃないわよ」
私「なにに使うの?」
冬「貯金よ。まぁ、将来的には子どもの養育費とか、ふゆたちが働けなくなったときとか色々……。ちょっと、なにニヤニヤしてんのよ」
私「えー?」
冬「ふゆが心配性だって言いたい訳?」
私「ううん、違うよ。幸せだなって思って……」
スマホのけたたましいアラームに目が覚めた。
冬優子はいない。いるのは異常独身男性ただ一人である。
呻きが漏れ、視界がにじむ。
ベッドから這い出すのに普段より20分多くを要し、遅刻の連絡をしなければならないと思う。
私の両眼に輝くものは、冬優子がいないことに対してのみの感情の現れではないだろう。
伴侶もいない、子どもを養う稼ぎもない。
だがなによりも辛いのは、よしんばそれらを持ち得ていたとしても、そして、そのパートナーが夢の中の冬優子の言葉をそのまま話したとしても、きっと私が幸せを感じることはなく、ただただ億劫で自分の人生が閉じていくような心持ちになるだけに違いないと確信していることだ。
おわり。