Youtubeのハレとケ

最近、コロナ禍の影響もあってか、「一生行かないだろうな~こんなところ」という場所を撮影した動画を見るのにハマっています。

それはアルペニストによるアイガー北壁の動画だったり、パルクールに熱狂する若者のビルからビルに飛び移る瞬間だったり、はたまた探査機の撮影した火星の表面だったり、色々なんですが、最近そこに「日本の植木屋のお兄さんが撮影した九州にあるなんの変哲もないレストラン」が加わりつつあります。

youtu.be

 

淡々としてますよね。

店の周辺の様子、外観、店内、メニュー、そして料理。食べているところは無し。
ただこれだけを撮影して、1分足らずの動画にして上げているんです。

どれだけこの料理が美味しいのかとか、店主の方のこだわりは何なのかとか、そういう「撮れ高」は一切なく、ただ「ここへ行った」というその人の一日の撮って出し。
そのレストランの名物とか地元の名産なんかもお構いなしです。ちゃんぽんの店行って普通にキムチチャーハンとか頼んじゃう。この味わいがYoutubeのちゃんとしたコンテンツっぽさに慣れてしまった自分の、自分でも気づいていなかったツボを刺激してくるんです。

ここで序盤の話に戻るんですけど、上の動画見て「すごい! 次の休みは絶対にこの店に行こう!」ってなるでしょうか? ならないですよね。
多分、一生行くことは無いんじゃないかと思います。だってごく普通の街のごく普通のレストランなんだもの。話題になっている訳でもなんでも無いんだもの。なんならお店の人だって自分みたいな人間が来ることなんて予想していないでしょう。ここに行くのだったら他の観光地とか、近所のまだ行ったことはないけど気になっているお店の方に、きっと足が向いてしまうと思います。

そういう意味では、この動画もアイガー北壁や火星のように「絶対に行かない場所」なんです。
アイガー北壁や火星が「ハレ」の「絶対行かない場所」なら、これは「ケ」の「絶対行かない場所」なんです。
そしてそれらは「絶対に行かない場所」であるがゆえに、等しく私を魅了してやまないのです。